Chaos Smart

「私は、私が無知であることを知っている」 複雑性、物事の根本に関わる深い叡智をえるブログ

「聞く」は、スキル(技術)であり、アート(技巧)であるがゆえに、ほとんどの人ができていない。

コミュニケーションの重要な要素である「聞く」は、

 

言語と非言語両要素の意義を理解し、状況や他人をよく理解し、よい対応ができること

話を聞いているときの聞き手の行動が話者に影響を与えることを認識していること

 

であり、これらが基本となってはいるが、スキルとして、できている人が非常に少ないと感じています。

 

 

これができなければ、コーチングもカウンセリングも何もかも始まらないのだが、

「聞く」ことで、プロフェッショナルとして生きている人材は、

 

そこからさらに深く広く、聞くためのツールとして、

 

自分と自分の無意識を使う方法や、「メンタラインジング」、共感、直感、平等に漂う注意、転移、逆転移の役割などがあります。

 

現在のコーチング資格制度が質が低すぎて、コーチの大半が何も分かっていないと思われるため、そのいくつかを紹介したい。

 

共感は他人の感情を正確に察知し、理解する能力を指しています。
精神分析的には、対象となる他者との、部分的で一時的な同一化。
共感は別の人の立場に立って主観的に世界を経験する能力です。


「私」がその人の立場であればどんな感じだろうと推測するのではなく、
「その人自身」が置かれた状況で覚える感じを経験する能力。

 

これが共感です。

 

ただし、成熟した共感では、他人が発する感情との一時的かつ意図的な融合も
起きる。優れた女優が役に入り込むのもこのパターン。
自分に同じことが発生したという臨場感が本物であれば、これは可能です。
ただし、他人との内面的な融合にあっても、自己を維持する能力は保たれなければいけません。感情の伝播を遮り、他人の感情と自己とを切り離す能力。


いわゆる、「共感の壁」というもの。


この「共感の壁」を築けない専門家は、クライアントの痛みや苦悩に接したとき、十分に自分を保護することができなくなる恐れがある。
医師や心理療法士、コーチ、心に傷を負い絶望状態にある人々と接するボランティア、人員整理にかかわるリーダーなどはすべて、必要に応じて共感能力の使い分けが求められる。

共感の前提にもなるが、「共感の壁」を築けるかは、共感が「感情でとらえる」スキルであるのに対して、認知スキル、思考能力にかかっている。

 

それを、『メタライジング』と言います。

 

人の話を注意深く聞いている人は誰でも、情報を受け取るだけではなく、相手が話したことの意味を絶えず理解しようとしている。これは、行動を引き起こすのは願望や必要、欲望、感情、考え、希望、恐れ、錯覚などのいわゆる観察不可能な精神状態であり、他人の精神状態は自分のものとは違うかもしれないと理解する能力があるからです。比較的新しく確認されたこの認知スキルはメタライジングと呼ばれています。

メタライジングは自分と他人双方の観察不可能な精神状態に関するものであり、人とその行動について考え、背後にある精神状態を推測する能力のこと。

この認知スキルが前提となって、共感の成熟した技巧ができるのです。

 

また、精神分析の観点から言えば、

 

聞くことは無意識の意味に敏感になることを意味します。

 

臨床的な聞き方とは、先入観を持たずに無意識の意味を探ることだという前提に立っている。したがって、共感や直感が潜在的な情報収集の方法になりえると思います。

 

目的はあくまで、「自己を中心に置かない」態度で聞くことにあります。

精神分析家はもっぱら患者に焦点を絞り、自分のなかに生まれた想念が干渉することを許さない。

聞く人は、人の心のより深いところにある原始的なレベルの気持ちを敏感に察知し、それを受け入れるだけの胆力と能力を持たなければならない。

聞く立場の人には、話し手の、強烈で、不安定で、そして突発的な情動や衝動をも許容できる度量が求められるのであります。

直感は理解しがたい断片的な気持ちの要素を掴むために使用するのは、スキルであるのだが、落とし穴は聞き手の自己防衛に使われることがあります。この精神性までもが、臨床の現場で、聞き手自身にどのように作用し、それを回避する術をもって、初めてスキルです。

 

そして、他人の無意識レベルの意味と、より原始的なレベルの経験に触れるには、自分のそれに触れることができなければ可能とならない。

 

自己に耳を傾けることは、他者に耳を傾けるための前提条件であり、両者は一体化しています。

 

メンタライジング(人間の行動はさまざまに変化する精神状態によって引き起こされるものと理解すること)もまた、聞くことに欠かせない前提条件だが、それだけでは十分ではありません。共感と直感は、意識外の次元の意味と経験を理解するのに役立つ貴重な方法であり、それ自体が重要な情報収集手段になります。そして、発見したことの解釈と臨床的仮説の検証には、あらゆる種類の思考過程が使われる必要があります。

 

人は相手とその人が語ることに共鳴する。ときには聞き手は話し手の感情を映し出す鏡の役割を果たす。転移と逆転移の過程は非常に繊細で複雑であり、聞き手には、複雑に絡み合う「私」と「私以外」を区別し、解きほぐす能力が必須となる。共感によって一時的に融合し、同一化したそのあとは、相手から距離を置くべきだ。「共感の壁」を築くことさえ必要になる。

 

これらの技術を磨き切り、ハートチャクラを徹底的に開発し、聞くことが、術者の心によって行われ、心は意味を聞き分けるために作用すること。

 

これで、「聞く」は、アートになる。