Chaos Smart

「私は、私が無知であることを知っている」 複雑性、物事の根本に関わる深い叡智をえるブログ

コーチングスキルpart2 『安心感と自信を与える』

Skill 12 出会いがしらの一言

セッションが始まって、職場や家で誰かと向かい合って、信頼関係構築に着手するのではもう遅すぎることを知っていますか。優れたコーチは、クライアントから電話がかかってきたとき、最上の声とトーンとボリュームで、たとえば「お待ちしていました。」と言います。その一言でクライアントを安心させ、セッションがまた今日もかけがえのないものになるであろうことを予感させます。ふだんの生活の中で、通りがかりの一言で周囲の人間と十分な信頼関係を築けるかを大事にします。何百回、何千回と同じ人との間で交わされる同じ言葉に、それでも「新しさ」「真心」を込められるか。たった一言。これを大事に言葉を放つこと。スキルにしましょう。

 

Skill 13 同じ言葉を繰り返す(バック・トラッキング)

コーチングの基本的な哲学は、「安心感で人を動かす」です。相手に安心感を与える非常に強力な方法が、同じ言葉繰り返すことです。脳はフィルター機能があって、情報が自分にとってOKを出していいものなのか、NOなのかを常にチェックしている。
言葉の繰り返しをやることで、そのチェック機能が外れます。自分の話した内容を繰り返し聴くので、頭の中では、YESしかでてこない。自分をよく理解してもらえているという、実感を相手に必ず創出します。「同じ言葉を繰り返す」ことは相手の意見に賛成するということではありません。相手が今そういう状態にあることを認めるということです。その逆は、相手に不安を与えることも合わせ理解しましょう。

 

Skill 14 絶妙なあいづち(ペーシング)

ふだんどのくらい意識してあいづちを打っていますか。これひとつで、人はたくさん話してみようとも思えば、話す気をなくしてしまうこともあります。Keyは、「同調」。声の調子や大きさ、タイミング、顔の表情、態度を意識して、相手に合わせてあいづちを打つことで絶妙なあいづちになります。これは、相手との類似点を意識的に創り上げる事によって、心理的バリアーを取り除けるテクニックです。ペーシングの効果を計るには、今度は自分の方から違う動きや姿勢をとってみて下さい。相手もそれにつられるようであれば、十分に効き目があったと思って間違いありません(ディスペーシング=リーディング)

 

Skill 15 気持ちを話す(フィードバック)

人が人に対して防衛を解くのは、なによりも相手の気持ちに触れたときです。相手の言葉をきいて感じたことを相手に伝えてみることが、本当のフィードバックです。機嫌をとるための心にもないお世辞を言うのでありませんし、否定感情を言うのでもありません。人の話をきくときに、自分の内側に意識を向けてみてください。そこになんらかの「肯定的な反応」をみつけたら、ぜひそれを言葉にして相手に伝えてみてください。上手なコーチは、相手が何かいうたびに、それに対する自分の気持ちを挟み込めています。「いいですねぇ、僕までうれしくなりますよ。」「そんなことあるんですか、驚きますね!」という具合です。

 

Skill 16 苦手回避

あなたには苦手な人はいますか? 人は自発性に基づいて行動するとき、楽しさを体験します。それが何であれ、自分でやろうと思ったことをやっているときが、いちばん生き生きとしているわけです。ところが、あなたが苦手と感じる人は、往々にしてあなたが自発的に行動を選択するのを妨害する人です。そして、それは、あなたが別の誰かを無意識に妨害しているということでもあります。目の前の人は、どんなタイプで、どう関われば接点を持ち、自発的な行動を促すことができるでしょうか。相手のタイプに応じてあなたが接し方を変えることが、相手を変える近道です。好意の度合いや価値観の類似性で、コーチはクライアントを見てはいけません。

 

Skill 17 4つのタイプ(DiSC)

社会性のある状態で過ごした時に、どのような根源ニーズがその人にあるのかは、思考解放度×感情開放度の2軸によって、対人関係上の特徴を切り口に、人をコントローラー、プロモーター、アナライザー、サポーターの4つのタイプに分類できます。
このタイプ分けは「あの人はこのタイプだからこう関わればいい」といった、マニュアル化のためのものではありません。自分のタイプをまず知り、いろいろなタイプの人とどう関われば、お互いのいい部分を最大限に活用できるか、お互いのニーズを満たすことができるのか、相手との新しい接点を見つけることです。


Skill 18 強みを活かす

DiSCは、部下の強みを知り、どのポイントを中心に彼らを伸ばしてあげればいいかを理解する切り口を与えてくれます。しかしながら、上司は自分がかつて成功をとげたやり方やスタンスを部下に強要しがちなのが真実です。「強みを活かす」というコンセプトにコミットしていても、DiSCタイプが自分と違うだけで、非常に難しくなるのが現実です。例えば、プロモーターの上司がアナライザーの部下に、「熱く」接客することを要望することは、英国紳士にイタリア人のように生きろというようなものであって、英国紳士には英国紳士らしく振舞って業績をあげるためには、どのようにコーチングしたらよいのかを徹底的に考えてあげてください。

Skill 19 最高のほめ言葉(アクノリッジメント)

コーチングでは、相手をほめたり承認したりすることをアクノリッジメントと言います。
1つは「You」のスタンスで相手を承認するもの。「優秀だね」「よくやった!」など、つまり「あなたはこうだ」と相手に伝えること。もう1つは、「I」の立場。相手が自分に対してどういう影響を与えたのかを言葉にするものです。「君ががんばているのを見ていると私までやる気が高まるよ。」「今日のプレゼンは安心して見ていられたよ。」など。このタイプの承認は、相手が否定しようがなく、「You」タイプは、それ自体が評価と捉えられてしまう可能性があります。評価ではなく、相手について自分がどう感じたかをほめ言葉にする。これが最高のほめ言葉です。

 

Skill 20 リクエストをきく

新米コーチが犯してしまうミスのひとつが、すべてのクライアントに対して、同じスタイル(早く成果をあげきるなど)のコーチングを強要してしまうことです。大目的はクライアントの目標達成にありますが、それに必要なサポートのあり方や、そのときの精神状態によってもニーズが変わります。ただ励ましてほしいときもあれば、鋭く突っ込んでほしいときもあるし、笑い話で盛り上がりたいときもある。
だからクライアントのリクエストをきくことが大事になります。「今日はどんなコーチングをしたらいいでしょう?」相手のためだと、思い込みでスタートするよりは、相手が何を欲しているかきく方が、よっぽど相手のためになるでしょう。

 

つづきは、こちら。

コーチングスキルpart3 『未来への夢を抱かせる』 - Caos Smart