Chaos Smart

「私は、私が無知であることを知っている」 複雑性、物事の根本に関わる深い叡智をえるブログ

コーチングセッションにNLPを導入したいコーチが多いが、プラクショナーを取得しても全然できていない理由について。

コーチングGROWモデルの限界というか、セッションのベースプロセスを守ると、上手くいく場合とそうでない場合がある。


理由は簡単で、クライアントのメタプログラムがひとりひとり違うにも関わらず、クライアントの症状や一般的行動パターンを利用することなく、セッションを終えるからだろう。

NLPを使ってセッションをやっているとわかるのが、タイムラインセラピーで何でも解決できるクライアントがいる一方で、パートの統合をしないかぎりどうにもならないクライアントもいる。

セッションアプローチが決定するメタプログラムの王道は、ユングの4つの心理機能定義があります。(DiSCなどのインターパーソナルとは全く違います)

・分離体験する能力(体験から距離をおき、外側から眺める、思考型)...
・実体験する能力(体験に踏み込み、内側で感じる、感情型)
・チャンクアップする能力(包括的な全体像を認識する、直感型)
・チャンクダウンする能力(特有の詳細を認識する、感覚型)

クライアントは、コーチと出会う前から、すでにこの4つの機能のいくつかを備えてやってくるわけで、その機能は生涯をかけて作り上げてきたものだから、セッションによって変化するものではない


自分の体験を外から眺めるクライアントもいれば、体験を完全に「生き生き」と反芻するクライアントもいる。両方の機能を持つクライアントもいる。同じことがチャンキングの機能についてもいえる

アンカーが成立するには、ある特定の状況を実体験しなくてはならない。実体験の能力が優れているクライアントは、概してアンカーの使い方がうまい。普段から使い続けているからだろう(おそらく恐怖症を発生させるのにも使っているが、メタプログラムそのものは損なわれていいない)。

こういうクライアントには、恐怖症/トラウマ治療の前提条件である分離体験のスキルが備わっていることもあれば、備わっていないこともある。恐怖症治療の前にアンカー潰しを使ったり、リソース・アンカーを最初に使ったりすれば、クライアントの能力を利用(ペース合わせ)して、新しいスキルにリードできる。

アンカーを使うこと、サブモダリティを変えること、トランスワークをやること、メタモデル、目標設定すること。 こういったNLPテクニックをセッションに導入するのであれば、クライアントの懸案の問題について聴きながら、自分の感情がつかみきれているのかいないのか、問題がすべてに影響しているのか、特定の事柄に影響しているのかを見極めると同時に、クライアントの得意な心理機能の診断を終えていなければならない。

これをやらずに、NLPテクニックをセッションに導入しても危険なだけなので、ぜひともやめてほしい。

心理機能の見極め以外に、同時にやってもらわなければいけない最低ラインは、クライアントが優先的に使う好みの感覚です。

リラクゼーションひとつとっても、美しい光景を想像することが最も効果的な人もいれば、心のなごむ音楽を聴くことが最高の人もいるし、ただ自分の呼吸に注意を向け、のんびりした気持ちになるだけで、安らぎが高まるひともいる。

アイアクセシング・キューと同時に、NLPの感覚システム(V:視覚、A:聴覚、K:触運動覚、O:嗅覚、G:味覚)を言語の述語レベルで、非言語レベルで運用できる状態まで訓練してから使用してほしいものだ。