Chaos Smart

「私は、私が無知であることを知っている」 複雑性、物事の根本に関わる深い叡智をえるブログ

コーチングスキルpart1 『相手の中から答えを引き出す』

 

 

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効果的なコーチングセッションを行うために必要な最低限のスキル

 

コーチングの目的に応じてスキルを設定していく。

 

 

part1 : 「相手の中から答えを引き出す」

part2 : 「安心感と自信を与える」

part3 : 「未来への夢を抱かせる」

part4 : 「新しい視点を与える」

part5: 「自発的な行動を促す」

  

効果的なコーチングセッションを行う上で、セッションのストラテジー以前に

どれだけのコーチングのスキルがあるかどうかを頭に入れて、ひとつひとつを

使えるようにしないと、クライアントのオーダーに対して、最適な組み合わせ

は生まれない。ここに定義するスキルを全て使えるようにすること、シーンご

とにどのスキルをタイミングよく切っていくのか、掴むことで成長していくの

が早いと最近では信じている。

 

 

 

 Skill 1 共感・傾聴する

引き出すには質問が必要です。そして、質問そのものよりも、大事なコトがあります。 それは、質問をした際にひとつ答えを受け取ったら、受け取ったことをちゃんと
相手に伝えます。つまり、「聴き方」が大事です。共感・傾聴には、自分のものさし(価値基準)で判断せずに聴く。本当に心から相手の話を聴くスキルが必要です。逆接ではなく、順接。どう理解したか、その理解あっているのかを相手に確認しながら聴く。こうやって、話を受けとって、受けとったことを伝え、促し、質問する。この過程が繰り返されることによって、相手は引き出されたという実感を持ちます。 質の高い質問は大事ですが、それよりも先に質の高い「聴き方」が大事なのです。

 

 

Skill2 かたまりをほぐす(チャンク・ダウン)

人は自分の過去の体験をひとつのチャンク(=塊)にして脳の中にストックする傾向があります。そこでチャンク・ダウン(かたまりをほぐす)というスキルです。相手の言葉の塊を具体的な言葉にほぐしていってあげるわけです。相手の話を自分の中でどんどん絵に置き換えていくというプロセスの中で、「まだここがはっきり絵にならないな」という部分を質問にして返していきます。「あの案件どうなっている?」という質問に、「ちょっとうまくいっていないんです」という答を部下が返してきたとき、「うまくいってないじゃ、わかんないだろう!何がダメなんだ!!」と詰めたのでは、「うまくいってないこと」の中身を知ることができません。

 

 

Skill3 答えられる質問

コーチングの基本は相手から引き出すこと。だからといって、いきなり大きく相手の内にあるものを引っ張り出すような質問は、効果的ではありません。「大きい」質問に答えるためには、自分の意識を深く内側に入り込ませる必要があります。準備なくこの行為を行うことは非常に不快であり、不快なことはなるべくしたくないのが人間です。まずは相手の意識を「小さい」質問で慣らす必要があります。そして、意識を徐々に内側に入れていきます。相手から多くを引き出すには、それが鉄則です。
「あなたの会社で過ごした期間について、人生でどういった意味があるでしょうか?」ほらね、いきなりすぐには答えられないでしょ。それは相手も同じです。

 


Skill 4 「なぜ」と「なに」

コーチングでは、「なぜ」のかわりに極力「なに」を使うようにします。それは、「なに」を使った質問の方が、内側にあるものを引き出しやすいからです。「なぜ」といわれると、現実を客観的にとらえてその理由をあげるというよりは、とりあえずそれ以上攻撃されないように防御壁を築きたくなります。「なぜ目標達成しなかったのか?」ではなく、「なにが具体的に目標達成の障害になったのか?」この質問の違いが重要です。「なぜ」ではなく「なに」が相手を警戒させずに答えやすくします。

 

Skill5 沈黙する

質問を投げる。次に相手が考える。そしてすぐに答が返ってこなかったら、「ゆっくり考えて、黙っていますから」と伝えれば沈黙は機能します。相手に一度このメッセージを伝えておくと、次に沈黙が訪れたときも、2人の間に沈黙はどう使われるべきかの合意がありますから、変な緊張が生まれません。沈黙という、普通は偶発的に起きる「間」を、相手から引き出すためのかけがえのない時間に意図的に変えてみてください。そして、沈黙は「引き出すこと」そのためだけではありません。「沈黙」つまり、「自己内対話」といって、自身とコミュニケーションしている時間が大切であり価値があります。コーチはその価値のある場を生み出す存在です。

 

Skill6 信頼する

コーチでも、時にはコンサルタントのように、相手から引き出すというよりこちらから提案することもあります。提案すること自体は悪いことではないですが、提案を考えながら、同時に相手の中の答を引き出すことは本質的にはできません。部下があなたに相談を持ちかけたら、たとえどんな素晴らしい提案が浮かんだとしても、あえて相手にきいてみてください。「きみはどうしようと思うの?」それに対する答は必ず相手の中にあるという超弩級の信頼を乗せて聞いてみてください。常にクライアントの最良の状態を知り、期待した答がすぐに返ってこないことで気を散らしたり、悩んだりしないことです。何があってもその人の傍にいてあげてください。

 

Skill7 旅にだす

答をもっていない部下からどうやって引き出すのか。ということを質問として数多く受けます。もちろん、仕事のリスクが高いのにそれを担当する部下の職務能力が低ければ、どちらかといえば、ティーチングがが中心になることは間違いがないです。しかし、答を出すのに多少時間的余裕があるのであれば、答を与えずに「旅」にだしたほうがいい。
自分で答えを見つけさせる。「どうしたらいいかわからないんですよ。」といわれたら、「じゃあその答を見つけだすためにどんな行動がとれる?」と聞き返すことです。自分でとりにいった情報の方が、与えれるよりも、実際に血となり肉となって使える知識として活用される確率が高くなります。

 

Skill8 不満を提案に変える

コーチングでは「不満を提案に変える」が鉄則です。不満とは、基本的に「あなたには私をハッピーにする義務がある(のに、それをはたしてくれない)」という被害者的なスタンスからのメッセージです。それを「自分が力を使わなければ、私はハッピーになれない」という自己責任を明確にしたメッセージに変えます。1.不満そのものを聴く、2.不満の原因を聴く、3.原因が悪であって、環境が悪ではないメッセージを打つ、4.原因の解決策を提案してもらう。このプロセスで会話をしてみてください。

 

Skill 9 向こう側から見る

人はほとんどの場合「自分の側」から状況を見ています。相手の立ち場に立ってものを見るというのは本当に難しい。どうしたら、視点を「向こう側」に移せるかというと、それはひたすらその相手について質問をすることです。そうした質問に答えていくことで、人は初めて相手の目を通して世界を見ることが可能になります。「売上あげろ!って怒鳴られた後で、その営業マンはどんなことを考えながら見込み客のところへ向かうと思いますか?」「彼は家で子供と遊んでいるときはどんな表情をするでしょうね?」こんな質問に対する答を探そうとする過程で、人は相手に対する自分自身の行動を客観的にとらえはじめ、新たな行動の糸口を掴むものです。

 

Skill 10 究極の質問
人は追い込まれるととんでもない力が出ます。この力を引き出す技が究極の質問。
「ギリギリ」の状態をイメージの中に意図的に作り出し答を引き出します。
究極の質問の公式は基本的にこうです。「もしあと○時間(相手が「ギリギリ」のとろろに追い込まれると感じる時間の長さであればなんでも)でその問題を解決しなければ(目標を達成しなければ)あなたにとって大切なことが失われるとしたら、どんな行動をとりますか?」 例えば営業に「もしきみがこの1日で1件とってこないと給料が半額になるとしたら、まずなにをする?」究極の質問を受けると、その瞬間現実的な解答が思い浮かばないとしても、なんとなく視野が広がる感じがあるものです。

 

Skill 11 かたまりにする(チャンク・アップ)

『望んでいる状態(目標)= 現在の状態 + 行動』
これが基本公式です。チャンク・ダウンによって、この3つすべてを具体化させていくことがstep1です。そして、チャンク・ダウンと反対で、いくつかの小さなものを大きなかたまりにまとめあげること(チャンク・アップ)。具体的なものの集まりから抽象的な概念を抽出することを言います。特に、望んでいる状態と行動について使用します。
たとえば、「やることが3つ決まったけど、その3つを確実に実行に移すため、いつも持ち歩ける、支えになるような言葉はないかな?」というような質問です。
ずっと先まで相手が「行動」を継続し、「望んでいる状態」を心の中に持ち続けられるようにコーチしよう。

 

つづきは、こちら。

コーチングスキルpart2 『安心感と自信を与える』 - Caos Smart